「オルペウス」 ヤコービ原詩 シューベルト曲 Y・C・M邦詩
火の神よ、引き下がれ!竪琴をさずかり、ただ一節で、
どんな化け物も、地獄の獣も、おとなしくなるさ。
アポロンの手になる琴で、妖怪も逃げ出す。
騒がしい地獄の犬ども、歌を聞け!
浮世には背を向けて、日の光さえ避け、
月も隠れる闇。
露にぬれる苔草も、歌声の響く野原も、
人の世の暮らしを捨てて、
楽しそうな仲間たちを離れ、
ただ一人を追いかける。
恋の炎は燃える、闇の国の果てまで。
嘆きの声は果てもなく、闇の世界に広がる。
楽しかったあの頃に、もう一度戻れたら・・。
苦しみを餌にする鬼ども、このオレを餌食にして、
そして舌なめずりをする時に、
責め苦も終わるだろう。
涙があふれかえる。闇の中からひとすじの光が。
永遠の罰などありはしない、ありはしない。
人の世を創った神は、深い闇から、救いの手をかざして来る、
バラのように微笑んで。(くりかえし)。
バラのような微笑みよ!
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